オープン・ディスカッション


▷Project

オープン・ディスカッションは、観客と演劇のつくり手とがこれからつくる作品について、話しあいを重ねていく試みです。

まず、いろんな立場の方々がひとつのテーブルに集い、語りあいます。

たとえば、劇をつくるための言葉やイメージについて、あるいは私たちの暮らしをとり囲む様々な事柄についてなどなど。

こうした話しあいから生まれた言葉やイメージが演劇の素材になり、舞台の演出や俳優の演技の発想につながっていきます。

途中段階にあるものを公開するワークインプログレスと違って、今回はコンセプトを探す現場をお見せします。この秘密の部分に足を踏みいれてみてください。

そして家に帰るまえに、事務所の壁にあなたの頭に浮かんだアイデアを書き残していってください。皆さんとのディスカッションで生みだされた言葉やイメージが、作品をつくるための空間に《記録》され、演劇作品『人形の家』をかたちづくっていきます。

演劇になる前のなにかが生まれる瞬間を、実際に体験してみませんか?




会場        重力/Note 事務所


ファシリテーター  


2014年9月15日(月)~28日(日)

15日(月)【イプセンから考えてみたこと(補助線を引いてみる)】ー 鹿島 将介

16日(火)【消される・ことば】ー 平井 光子

17日(水)【わたしの樹形図】ー 邸木 夕佳

19日(金)【ヘルメルが働くことについて考える夕べ】ー 山田 宗一郎

20日(土)【日本/人形の家~人間?それとも人形?~】ー 瀧腰 教寛

21日(日)【『人形の家』から考えてみたこと(上演史&演出について)】ー 鹿島 将介

22日(月)【再びイプセンから考えてみたこと(補助線引いてみる2)】ー 鹿島 将介

23日(火)【表情のドレスコード】ー 松田 早穂

24日(水)【あの人たちの決断】ー 邸木 夕佳

26日(金)【続・ヘルメルが働くことについて考える夕べ】ー 山田 宗一郎

27日(土)【異体験!服と動きのワークショップ】ー 富永 美夏&松田 早穂

28日(日)【わたしたちのフィクションについて(リアリティの行方)】 ー 鹿島 将介

※ 最終日は詩人の山田亮太さんがゲストで参加


フライヤーデザイン:青木 祐輔


稽古場を噛み砕いてみる。

ひとつの演劇のかたちができるまでに、多くの言葉が費やされるのが稽古場です。 上演にむけての稽古はもちろん、身体の動かし方から小道具ひとつにいたるまで言葉、言葉、言葉・・・。よく「芝居は三日やったらやめられない」なんてイイグサを耳にしますね。これは舞台に立ったときの満足感からではなくて、たぶん稽古場が生み出す言葉の応酬にヤラレてしまった人たちがふれまわって残った至言なんじゃないでしょうか。これらの言葉は、必ずしも喧々諤々なやり取りにおいてとはかぎりません。その場にいる人それぞれが持つ、これまで生きてきた時間に、互いに耳をすませていくことで見つかるものです。

今回オープン・ディスカッションという形式でやってみたかったのは、この稽古場の言葉だけを取り出してみたらどうなるだろうか、ということ。俳優やスタッフたちに『人形の家』を読んで気になったところをピックアップしてもらい、それを題材にして上演に向けてポイントになりそうなことをひとつひとつ試してみます。しかも一般公開して、その可能性についてザックバランに議論していく。「私たちはどんな場合でも、劇を半分しか作ることはできない。あとの半分は観客が作るのだ」と言ったのは寺山修司でした。この残りの「半分」を上演前にアノ手コノ手を使って先取ってみたいというわけです。

ただし、ご覚悟を。十中八九、どこに向かって進めばいいのかよくわからない時間が流れます。開き直るわけではありませんが、えてして《稽古場》とはそうなるものなのです。でも、その場にあなたがいる/いたという現実が、これから準備する上演作品に小さくない作用を及ぼすのは間違いない。かたちを持つ前の、演劇未満の時間が生まれる稽古場。ぜひ覗いてみてください。

鹿島 将介